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2004年8月

2004/08/18

『キング・アーサー』

2004年 ブエナ・ビスタ
アントワン・フークワ監督作品
評価:★☆☆☆☆

え~・・・久しぶりに外した映画、かな
イギリスの伝説的な王・アーサー王に、歴史上のモデルが居た、という説をもとにしている
アーサー王の物語はだいたい15世紀の物語とされているが、この映画ではまだ帝政ローマがイギリス(当時はブリテン)に領地を持っていた時代(紀元500年頃)を舞台とし、帝政ローマのために戦った戦士の中に、アーサーのモデルとなりうる人物が居た、ということになっている

さてこの映画は、映画を見ている相手が「アーサー王伝説」を全て理解していることを前提に作られており、そのままだと非常に難解で消化不良となってしまう
具体的に言うと、この映画に出てくる伝説の人物と共通する要素を持つ人物は数名で、それぞれが伝説に描かれた物語に似た結果をもたらすように行動するわけだが、その理由がバックグラウンドを知らないと全然分からない
例えば、主人公たるアーサーは、数名のブリテン騎士を率いる、帝政ローマに属する指揮官である。この彼は最終的にブリテンの王となるのわけだが、そういう使命に目覚める前提が全然描かれていない。単に悩める男である
伝説ではアーサーの后となるグウィネヴィアは、ブリテンの土着民族ゴート族の娘として出てくるが、なんでアーサーを愛するのか、彼を王と思うのかが、これも分からない。伝説でアーサーを惑わす、湖の女王・モリガンと混同しているような描写もあった
魔術師マーリンがアーサーを王と選び、彼に協力する過程も描かれていない
こうして、張られまくった伏線が大量に残り、「一体なんだった?」ということになってしまうのである

監督さん、これで満足だったのかな?

この作品で感動できたら、その人はよっぽど想像力と感受性が良い人なんだろうなぁ・・・

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2004/08/17

『ラスト・サムライ』

2003年 タイムワーナー
エドワード・ズウィッ久監督作品
評価:★★★★☆

昨今の海外製日本描写映画の中ではかなりの作品
ストーリーの概要としては
アメリカ南北戦争の英雄だが、今は落ちぶれたオールグレン大尉が、日本の政府軍の教官として就任する
彼はとりあえず訓練した軍を率いて、明治政府に敵対する「侍」と対峙するが、訓練不足が原因で敗退し、自身も虜囚の身となり、侍たちの村へと連れていかれる
そこで出会った侍とその家族たちを見て、オールグレンの心は徐々に彼らに傾いていく

最初に言うと、この映画は明治維新直後の日本を舞台にしたファンタジーである
アメリカの人々が、なんとなく「こんな日本だったんじゃないかな」と考えている世界だ
で、ぶっちゃけた話、このファンタジーのモデルは「西南戦争」と「西郷隆盛」である

そのファンタジーを作り上げている日本俳優たちの演技が素晴らしい
実のところ真田弘之氏目当てで観に行ったのだが(苦笑)、渡辺謙氏にはやられた!
『独眼竜正宗』の頃に比べて格段に演技力がレベルアップしていて、時代の終わりを実感しつつも、そのまま消えることを良しとすることができない侍をよく演じている
もちろん真田氏も甲乙つけがたいのだが、台詞が少なくて(さらに苦笑)
また、奥ゆかしい日本女性を演じる小雪も良い。実のところ、彼女とトムの(ハリウッド的)お色気シーンがいつ挿入されるのかと、内心ドキドキしながら観ていたら、そういうところが全くなくてこれもやられた

こういった日本人独特の感情表現を演じさせることを考えた監督も偉い
もし、もっとアメリカで分かりやすいように作ろうと思ったら、バカみたいに暴れ回る侍や、ヒステリーな女が出ても良かったんだろうけど、きっと「そんなんじゃ日本じゃないよ」なんて思ったんだろうね
ただ、馬にまたがっての合戦シーンは、精一杯ハリウッド受けするために入れたんだろう
なにせ明治維新前後には、すでに当世甲冑をまとっての合戦というスタイルは失われていたのだから

あと、トム・クルーズ、貴方の評価が変わりました
『MI:2』を観た時は「ああ、そんなもんか」と思ったものだったが、いやはやどうして演技が上手い
静の中に動を表現する、という日本独特の演技は、海外の俳優にはとても理解しがたく難しいものだと聞いたことがあった
映画の最初のほうのトムも、まさに普通のアメリカ人(ボディランゲージで表現し大声を上げる)なのだが、自身の配役であるオールグレン大尉が成長するとともに、彼もまた「目だけで感情を表す」ことや「体が動いていなくとも殺気を発する」などの表現をものにしていく。これは評価できるだろう
和服を着て、なんだか嬉しそうにはしゃいでいる笑えるシーンがあったが、あれは彼の本音なんだろうな

余談だが、明治天皇を演じた中村七之助氏であるが、映画館で観た時は「明治天皇?これで??似てねぇ~」と思ったのだが、DVDで見直したら似て見えなくもなくなった(苦笑
なお、彼がきちんと「朕」と表現するのは、これまた一本取られた感がある

もっとはっきり言えば、良いところばかりでなくてツッコミどころもたくさんあるのだけれど、あえてそれは言わなくてもいいではないか
全体としてまとまりのある映画には、そういった野暮な話はしないに限る

何度もみたい、と思った数少ない映画となった

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