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2007/06/03

過去・現在・未来

ある日上司と喫茶店でぼーっとしていた
外に広がる街は上司の地元で、最近は再開発であちこち壊され、更地と工事現場が入り交じった状態になっている
「ふーぅ、この街もだいぶ変っちゃったなぁ。どうしてこう、壊しては作り、壊しては作りするんだろうね?街を大事にしたって良いじゃないか」
「・・・これは私の持論ですけどね、日本人って古い物が『怖い』っての、無意識にあると思うんですよ
そのものが高貴なものであったり神聖なものであるならともかく、古い家や物には大抵『いわくつき』って言うイメージがつきまといますよね。持ち主の念が宿るというか、住んでいた人の何かが残ってるとか・・・だから古い物って、いつまでも残したがらないんじゃないでしょうかね
長くそこにある物は、何となく不吉。潰して綺麗にしてしまいたい。そう言った感覚が、ずっとずっと昔から受け継がれているのかも知れません

で、なんで日本人って、と限定するかというと
前にアメリカに住んだことがある人に聞いたんですが、向こうの人って引っ越しするときに、引っ越し先で使いそうもの無い物を、躊躇無く旧居に残すんだそうです。破れた壁も、割れた窓もそのままに出て行っちゃう
で、引っ越してきた人も、遠慮無くその『残り物』を自分の物に組み込んで使っちゃう。壊れた場所を自分で自分の好みにすればいいという考えなんだそうです。日本人が、まさに『飛ぶ鳥後を濁さず』で、きっかり旧居を綺麗にすることにびっくりするそうですよ、向こうの人は
そんなの気持ち悪くないか?何かいるかも知れないって思いますよね
でも、たぶん向こうの人にとって『悪いもの』って言ったら、ほぼイコール悪魔なんでしょうから、聖書でお祓いすりゃなんとでもなるんじゃないですか?

なんでしょう、宗教もそうですが過去・現在・未来に対する時間の概念が違うのかも知れませんね
これも聞いた話ですが、明治の初頭にアメリカに渡ったとある日本人が、偉大な大統領と評判だったリンカーンの末裔に逢いたいと探したそうですが、当時でさえほとんど誰も子孫のことを知らなかったそうです。というより、そう言うことに興味が無いらしくて、むしろ日本人の質問を奇怪に思ったと言うことでしたね
ぶっちゃけて言うと、過去に敬意を払わない
今という物しか目に入ってない。そういうある種の視界の狭さがあるのかもしれません

まぁ要するに、日本人はずっとずっと前から、過去に思いを馳せ未来を思い浮かべる、想像力豊かな感性を持っているって事ですよ。だから、こうして古い物が徐々に消えていくのも、また日本の日常ですよ
懐かしい風景は上司の心の中にあるわけですから、それでいいじゃないですか
そうやって昔を懐かしむことができるこの街には、きっと『古い物につく何か』の居ない、素敵な土地なんでしょう」

そっか、それならいいな
上司はそう言って、コーヒーをゆっくりすすっていた

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